アニメ映画「花とアリス殺人事件」の魅力を紹介【おすすめ・感想レビュー】

基本情報

監督:岩井俊二
脚本:岩井俊二
原作:岩井俊二
音楽:岩井俊二
制作:ロックウェルアイズ スティーブンスティーブン
公開:2015年2月20日
分類:青春

キャスト
有栖川徹子(アリス):蒼井優
荒井花:鈴木杏
有栖川加代:相田翔子
萩野里美:黒木華
陸奥睦美:鈴木蘭々
初老の社員:平泉成

あらすじ

市立石ノ森学園中学校に転校してきた中学三年の『有栖川徹子(ありすがわ てつこ)』は、なぜか周りから避けられていた。
そんな中、アリスはバレエ教室で、一年前に起きた『一個上の男子が殺された事件』の話を聞かされる。
その殺されたという男子はアリスのクラス、三年二組の生徒だったという。

有栖川徹子

転入した学校で周りから避けられてしまい、そのことを認識しているにも関わらず、落ち込んだり、周りに当たったりせずに堂々と生きています。

両親は離婚していますが、どちらとも仲の良い関係を築くことが出来ていますし
・久しぶりに会った友人
・ろくに会話したこともない生徒
不登校中の生徒
・偶然会った老人
など、誰とでもすぐに打ち解けられて、人によって接し方が変わることもありません。

そんな彼女はカッコいいし憧れるけど、完璧な人間というわけではなく、乱暴な言葉を吐いたり、手を出すこともあります。
完璧な人間なんて現実味がないですよね。
だからこそ彼女の良くない言動が、良い言動により説得力をもたらすのです。

映像

動き
全てではありませんが『ロトスコープ』という実写映像をトレースして作成する方法が使われています。
非常にリアルな動きをしているシーンがたくさんあり、場面や人によって変わる歩き方、会話中の何気ない仕草、後ろで動くモブキャラなど、日常の動きに注目して欲しいです。

美術
美術は、造形がリアルな一方で水彩画のような幻想的なタッチで描かれています。
また、背景に影はありますが、キャラには陰を描いていません。
これらのギャップが映像に『奇妙な雰囲気』を漂わせています。

赤と青
全てのシーンと言っても過言ではないくらい画面に赤と青が存在します。
光・空・家具など様々な箇所に存在し、背景全体にフィルターのように使われることも。
また、10代の青春を描いた本作にピッタリな『淡い色』が多く使われています。
イメージとしての青春時代の景色が視覚的に表現されていて、ノスタルジックな気分にさせられます。

会話

アニメは実写に比べて、会話が現実離れしていることが多いです。
それが嫌とかは全くありませんし、なんなら実写でも気になりません。
その上で、本作のリアルな会話には打ちのめされました。
一度聞いた名前を憶えていなかったり、会話がちゃんと噛み合っていなかったりするのが、予定調和ではなく『その場で突発的に出た言葉』のように感じられます。

実写作品で活躍している役者を起用したことがプラスに働いています。
声優を本業としている役者の演技は誇張が強く、発声も独特です。
多くのアニメではそれが求められているので、基本的には声優を起用した方が良いわけです。
しかし、本作の場合はファンタジー要素が一切なく、キャラや美術もリアルなため『自然体の演技』を求められることが多い実写役者の方が向いていると思います。

音楽
浮遊感漂う曲が多く、映像の雰囲気と見事にマッチしています。
それにしても、音楽まで自分でやってしまう岩井俊二の多才さには驚きました。

環境音
画面の中で発生する音が、どういった環境下で発生するかによって聞こえ方は違いますよね。
本作は、そこまでちゃんと再現されているので『空気感』が伝わってくるため、他作品よりも臨場感があります。

最後に

アリスが殺人事件の情報を様々な人物から得ていく冒険物語が、何の変哲もない世界で繰り広げられるのが面白いです。
物語上描かなくても問題ないし、何か特別なことが起きているわけでもないシーンが、動き・美術・台詞などで魅力的になっていますし、そういったシーンこそが本作の醍醐味です。
アニメとしての魅力が詰まっている上に、実写レベルの『生きた世界』が画面の中に広がっていて『もっと評価されるべきだ』と心の底から叫びたい作品に仕上がっています。

推しキャラ
有栖川徹子(ありすがわ てつこ)

好きな台詞
名前聞いたのてめぇの方だろ

本作の魅力的な要素
雰囲気 物語 キャラクター 色彩
美術 表情 動き 台詞 音楽 環境音