はじめに
実写の魅力/アニメの魅力は実写の良さでありアニメの良さなので、それが分かれば実写作品やアニメ作品をより楽しめると思います。
こちらの記事もおすすめ
実写の魅力:非現実/非日常
ドラゴン/エイリアン/巨大ロボット、といった非現実なキャラクターがあたかも現実空間に存在しているかのような映像を見ることができ、それは大きなインパクトがあります。
これはキャラクターだけでなく、人間が空中に浮かぶ/手から炎を出す/壁を通り抜ける、といった非現実な現象も同様です。
また、現実に存在するキャラクターや現象でも、非日常の場合は同じようにインパクトがあります。
例えば、ライオン/戦闘機/竜巻/車が一回転する/建物が爆発する/屋上から人が飛び降りる、などです。
このように、実写は現実空間に非現実や非日常を持ち込むことで大きなインパクトをつくれます。
非現実を楽しめる実写作品『ハリーポッター』
ジャンル
ファンタジー
あらすじ
まだ赤子の時に両親を亡くした『ハリー・ポッター』は、引き取られた親戚のダーズリー家にひどい扱いを受ける暮らしを送っていた。
ある日、“ホグワーツ魔法魔術学校”からハリー宛の手紙が届き、叔父はハリーに手紙を見せるのを阻止するが、手紙は日に日に増していく。
手紙から逃れるため、家族で人里離れた島へ引っ越したダーズリー家の元に、ホグワーツの番人『ルビウス・ハグリッド』がやってくる。
そこでハリーは、交通事故で亡くなったと聞かされていた両親は魔法使いで、闇の魔法使い『ヴォルデモート卿』に殺害されていたことを知る。
ポイント
・様々な魔法や架空生物が登場し、テーマパーク的な楽しさがある。
・世界観にマッチしているだけでなく、一度聞けば耳に残るインパクトを持つ音楽。
・ハリー、ロン、ハーマイオニーの恋。
・回を重ねるごとにハリーVSヴォルデモート(宿敵)の色が濃くなり、同時に明るかった雰囲気が暗くなっていく。
・生徒以上に個性的な教師たち。
非日常を楽しめる実写作品『タイラー・レイク -命の奪還-』
ジャンル
アクション サスペンス
あらすじ
インドの麻薬王の息子『オヴィ・マハジャン』は、クラブを訪れた際に誘拐されてしまう。
誘拐を行ったのはバングラデシュの麻薬王『アミール・アシフ』。
裏社会の傭兵『タイラー・レイク』は、オヴィ救出の依頼を受ける。
ポイント
・ワンカット長回しのアクションシーン(自分もその場にいるかのような臨場感がある)
・南アジアの街並み(街中で銃撃戦を繰り広げるので、周りに一般人がたくさんいる)
・タイラーの心強さ(一定のテンションで淡々と敵を倒していく)
・オヴィを守ろうとするのはタイラーだけじゃない。
アニメの魅力:キャラクターデザイン
アニメのキャラクターは、二頭身くらいのキャラクターが多い作品もあれば、六頭身くらいのキャラクターが多い作品もありますし、キャラによっての頭身のばらつきが激しい作品もあります。
目一つとっても、横長もあれば縦長もありますし、白目に対しての黒目の大きさも様々です。
キャラクターデザインによってオリジナリティを出すことができるのが、アニメの魅力の一つです。
キャラクターデザインが特徴的なアニメ作品『魔法少女まどか☆マギカ』
ジャンル
ファンタジー サスペンス アクション
あらすじ
なに不自由ない幸せな生活を送る中学生『鹿目まどか』。
そんなまどかの通う中学校に転校してきた『暁美ほむら』は、まどかが昨夜の夢でみた少女そのものだった。
放課後、親友とCDショップに来ていたまどかの脳内に、助けを求める誰かの声が駆け巡る。
声の主を求め彷徨うまどかの前に現れたのは、負傷した『謎の生物』とそれを追う転校生の暁美ほむらだった。
ポイント
・世界観(美しく、広々としていて、ひと気がない)
・萌えがかなり強めなキャラデザのキャラクターが、絶望の中で格闘するギャップ。
・人間キャラクターとは明らかにテイストが違う絵で描かれている敵キャラクター。
・ファンタジックかつミステリアスな音楽。
・ほむらの正体、謎の生物の正体。
実写の魅力:共感
実写はそれがフィクションであっても、現実空間と生身の人間で構成されています。
そういう意味で、実写は現実世界の出来事が描かれているので、より身近に感じられます。
そのため、より大きな共感を得られます。
一番わかりやすいのが、心霊的な恐怖です。
例えば『そこに無いはずの手が映っている』みたいな心霊映像がよくありますが、あれが怖いのは、それが現実世界の出来事だからですよね。
つまり、実写だから成立している恐怖で、心霊映像や心霊写真は実写であることが重要なわけです。
人間に対する怖さも同じです。
主人公が殺人鬼に追われているシーンは、現実空間で生身の人間が追われていることで、より身近に感じられて恐怖が増します。
もっというと、知らない街で撮影されたシーンよりも、知っている街で撮影されたシーンの方が、より身近に感じるので恐怖が増します。
恋愛感情も同じです。
現実空間で繰り広げられる生身の人間の恋が描かれることで、喜びも哀しみも妬みもより大きくなります。
他にも、複雑な関係の相手と二人きりになった気まずさ、大勢の前で失敗する恥ずかしさ、感情は様々です。
色んな感情を滝のように浴びて一喜一憂するのも、実写の醍醐味です。
心霊的な恐怖を楽しめる実写作品『回路』
ジャンル
ホラー
あらすじ
観葉植物販売会社で働く『工藤ミチ』は、一週間会社に顔を出していない同僚を心配し、同僚の自宅を訪れる。
一方、大学生『川島亮介』は、インターネットを使い始めるが、奇妙なサイトに勝手にアクセスしてしまう。
そのサイトに映るのは、見知らぬ人の部屋の映像と「幽霊に会いたいですか」というメッセージ。
ポイント
・人のうめき声が使われた恐ろしく不気味な音楽。
・室内にいるキャラクターを室外から撮ったカットがいくつもある。
・異界感を生み出す要素(空が濁っている。部屋が暗い。ひと気がない。アフレコの台詞)
・終盤に出てくる常識を覆す幽霊(消えずにずっとそこにいて、触ることもできる)
・死や孤独に対する恐怖が描かれている。
人怖な恐怖を楽しめる実写作品『RUN/ラン』
ジャンル
スリラー
あらすじ
母親と2人で暮らし、車いす生活を送る『クロエ』は、母親が持ってきた緑色の薬に疑問を抱く。
その薬は母親が買ってきたチョコレートをこっそり買い物袋から取り出した際に見つけた、母親の名前が書かれた薬だった。
ポイント
・最も身近なところに恐怖が存在する恐ろしさ。
・クロエは知恵と根性で障害の壁を乗り越えようとする。
・ひと気がない町や薄暗い病院など、背景に不穏さを感じる。
・恐怖を増大させる音響演出。
・母親はクロエに秘密を隠している。
恋愛感情を楽しめる実写作品『猿楽町で会いましょう』
ジャンル
ヒューマン
あらすじ
カメラマンの仕事が上手くいっていない『小山田修司』は、雑誌の編集長に紹介された『田中ユカ』の写真を撮ることになる。
ポイント
・ユカの暗い過去を想像させる要素(煙草を嫌がる。大きい声に恐怖を持っている)
・ユカは小山田に隠し事がある(中盤で明らかになります)
・恋の楽しさと残酷さ、嘘/色欲/蔑視といった人間の醜い部分が描かれている。
・男たちのキレる演技。
・だらしない部分と真面目な部分が入り混じった現実感のある小山田のキャラクター。
アニメの魅力:日常
アニメは日常にありふれているものが、特別なものになります。
例えば、動き。
アニメは激しいアクションだけではなく、日常にある動きも楽しめます。
それこそ、歩く/座る/起き上がる、などの人間が日常で行っている動きや、風が吹いて髪がなびく/水溜まりを踏んで水が跳ねる/ベッドに座ってベッドが歪む、などの現象もです。
それらは現実なら当たり前の動きですが、アニメの場合はアニメーションでそれを表現しているため、当たり前ではありません。
また、背景美術でも同じことが言えます。
洗い物で一杯になった台所の流し/雑草が生い茂る空き地、そういった日常の風景が絶景に成り得ます。
日常の動きを楽しめるアニメ作品『失くした体』
ジャンル
ヒューマンドラマ ファンタジー
あらすじ
ピザ配達員の『ナオフェル』は、配達先のマンション住人に接客を注意されたことを皮切りに、インターホン越しの長話をする。
その顔も知らない女性に惹かれたナオフェルは、女性の勤め先を探し訪れる。
ポイント
・ナオフェルのキャラクター(基本的にはテンションが低いが、ガブリエルの前だと無邪気さが出てくる)
・手の正体(後の展開を予想でき、そこへ近付いていくのが怖い)
・形はリアルだが質感はイラスト感が強い背景美術。
・美しく悲壮感のある音楽。
・手の冒険(手は一人で街の中を移動し、感情があるような行動を取る)
日常の背景美術を楽しめるアニメ作品『惡の華』
ジャンル
サスペンス 青春
あらすじ
読書家の中学生『春日高男』は、同級生の『佐伯奈々子』に想いを寄せている。
ある日、放課後の教室に本を取りに戻ってきた春日は、そこにあった佐伯の体操着を持ち帰ってしまう。
そしてその様子は、同級生の『仲村佐和』に目撃されていた。
ポイント
・絵だけどリアル、アニメと実写の中間のようなキャラクターデザインが不気味。
・後ろめたい秘密を握る仲村に翻弄される春日。
・細かい上に錆やシミまで描かれた、美化されていない背景美術。
・春日と佐伯と仲村の、普通ではない三角関係。
・クラスに一人はいる奴すぎる山田(春日の友人)の言動。
実写の魅力:リアル
実写は現実空間と生身の人間で構成されているため、極限のリアルに到達できます。
自分がその場にいるような感覚にさせるリアルな映像や音響に、表情や喋り方や仕草にリアルを突き詰めた演技が加わると、作り物とは思えないシーンを作り出すことができます。
リアルを楽しめる実写作品『街の上で』
ジャンル
ヒューマン
あらすじ
下北沢で暮らしている『荒川青』は、彼女に浮気された上に別れを告げられた。
飲み屋や古本屋を訪れながら静かな生活を送っていた青は、働いている古着屋を訪れた大学生に「自分の映画に出て欲しい」と言われる。
ポイント
・長回しの会話シーン。
・リアルな会話の中にある笑い(本人たちは笑えなくても、傍から見ていると笑えるものもある)
・気取っていないオシャレさがあるファッション。
・冴えないところもあるが、そこも含めて魅力的な青(話すと面白いし、絶妙に洒落ていて、知り合いが多いのも女性が寄ってくるのも頷ける)
・驚くほど自然な青役の演技。
アニメの魅力:独自の世界を創りやすい
アニメは画面の中の世界を一から創れるため、独自の世界を創りやすいです。
例えば、あらゆる物の色を赤系にする、影を全て真っ黒に塗りつぶす、影を一切描かない、おもちゃのような質感にする、など様々なアレンジができます。
独自の世界を楽しめるアニメ作品『花とアリス殺人事件』
ジャンル
青春
あらすじ
市立石ノ森学園中学校に転校してきた中学三年の『有栖川徹子』は、なぜか周りから避けられていた。
アリスはバレエ教室で、一年前に起きた一個上の男子が殺された事件の話を聞かされる。
その殺されたという男子はアリスのクラス、三年二組の生徒だったという。
ポイント
・実写映像をトレースして作成する方法が使われているため、動きがリアル。
・その場で突発的に出た言葉のように感じられるリアルな会話。
・避けられても堂々としているし、誰とでも気軽に話すアリスのたくましさ。
・10代の青春を描いた本作にピッタリな淡い色が使われた、水彩画のような背景。
・映像の雰囲気とマッチした、浮遊感がある音楽。
実写の魅力:文化の記録映像
実写は国や時代によって違う文化(食、髪型、化粧、服装、内装、景観など)を実際の映像で見ることができ、文化の記録映像としても楽しめます。
文化を楽しめる実写作品『オテサーネク 妄想の子供』
ジャンル
スリラー ファンタジー
あらすじ
夫婦の『カレル・ホラーク』と『ボジェナ・ホラーク』は、子宝に恵まれずにいる。
隣人の勧めで購入した別荘で、赤ん坊のような形をした切り株を掘り起こしたカレルは切り株をボジェナに見せるが、ボジェナは切り株を本当の赤ん坊のように扱いだす。
ポイント
・食べるという行為にクローズアップしていて、口元をアップにしたカットが多かったり、食べ物を扱う音や咀嚼音を強調していたりする。
・ポジェナは周りにも子どもがいるように振る舞うため、嫌々ポジェナの妄想に付き合うカレルも子どもがいるように振る舞う。
・ストップモーションを用いたシーンがいくつもある。
・妊娠に関心を抱く少女はいち早く夫婦に疑心を抱き、大人たちが知らないところで事の真相を暴いていく。
・後半になると、前半からあった噓がバレてはいけない緊張感に、命が脅かされる恐怖が加わる。
アニメの魅力:制作方法
アニメといっても、2DCG/3DCG/ストップモーション、など制作方法は様々です。
ストップモーションで制作されたアニメ作品『もう一度耳を傾けて太陽を目指して(『家をめぐる3つの物語』第3話)』
ジャンル
ヒューマンドラマ ファンタジー
あらすじ
水没した町で一つだけ残っているアパートを経営する『ローザ』は、自分の手で家を修復しようとするも上手くいかず、入居している二人からは家賃を払ってもらえない。
そんな中、入居者の友人がやって来る。
ポイント
・世界観(水に囲まれていて、敷地が狭く建物が一つしかないため、閉塞感がある)
・背景にある物語を想像させる世界観(以前に洪水があったようで、敷地の周りには水に沈んだ建物が確認できる)
・キャラクターが人型の猫のため、人形の質感とマッチしている。
・暗い雰囲気に対してキャラクターたちは明るい。
・ローザは同じ場所に留まっていて、変化を恐れている。
実写の魅力:自主作品
実写はスマホ一つあれば制作できるため、多くの自主作品があります。
自主作品は映画的な面白さを持った作品が多く、映画好きにはたまりません。
自主制作の実写作品『CHICK TACK』
ジャンル
青春
あらすじ
コンビニでバイトするも、レジ打ちを覚えられずクビになった19歳『仁科仁汰』は、ある決断をする。
ポイント
・メインキャラクター二人の会話の掛け合い(リアルな仲の良さがにじみ出ていて、笑える)
・仁科のキャラクター(愚痴っぽいが純粋な少年のようでもある)
・20歳を目前にしていることによる緊迫感。
・終盤のハッとさせる展開。